
発酵で暮らす|ぬか床・味噌・ヨーグルトから土のぼかし堆肥・納豆菌液まで、自家製発酵5選
2026-08-26台所の発酵と土の発酵は地続きでした。我が家の自家製発酵5つを、台所の3つと土の2つに分けて紹介します。
こんにちは、wandです!
我が家の台所では、ここ数年でカスピ海ヨーグルト・ぬか床・手作り味噌が定番になりました。
土に使うためのコーヒーかすのぼかし堆肥と納豆菌液も、一度ずつ仕込んでいます。
どれも1本ずつ記事にしてきました。
冒頭の写真は、手作り味噌の味噌汁、精米したてのご飯、自家製ぬか漬け、自家製梅干しが並んだ食卓です。
ぬか漬けは、精米で出た米ぬかで漬けたものです。
台所の3つと土の2つを並べ直してみると、
やっているのはどの菌に働いてもらうかを、温度と空気で決めること。
そして、入ってほしくない菌を入れないことでした。
材料が大豆かコーヒーかすかは違っても、いじっている「つまみ」は同じです。
これまでに書いた5本の発酵の実践記事を、台所の3つ、土の2つに分けてご紹介します。
本記事で紹介しているのは、すべて筆者の家庭での実践例です。
食品の衛生管理や体調への影響には十分ご注意のうえ、自己責任でお試しください。
台所の発酵と土の発酵を、1枚の表にしてみる
まず、我が家の5つを並べてみます。
| # | 作るもの | 舞台 | はたらく菌・種 | 空気の扱い | 時間の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | カスピ海ヨーグルト | 台所 | 種ヨーグルト(市販または前回の一部) | フタをして置くだけ | 夏は半日〜1日、冬は1.5〜2日 |
| ② | ぬか床 | 台所 | 乳酸菌 | 底から混ぜる(最初は1日2回、あとは1日1回) | 約20日 |
| ③ | 手作り味噌 | 台所 | 米麹(こめこうじ) | 叩き入れて空気を抜く | 約3ヶ月 |
| ④ | ぼかし堆肥 | 土 | 乳酸菌など | 袋を密閉して断つ | 約1〜2ヶ月(残暑なら約1ヶ月) |
| ⑤ | 納豆菌液 | 土 | 納豆菌(枯草菌) | 毎日振って酸素を入れる | 数日で発酵のサイン |
縦に読むと、台所の②ぬか床と土の④ぼかし堆肥に、同じ乳酸菌の名前が出てきます。
空気の扱いも、①は置くだけ、②は混ぜて入れ、③は抜き、④は断ち、⑤はまた入れる。
入れるか抜くかの区別は、台所と土の境目と一致していません。
つまり台所か土かで手順が決まるのではないのです。
②が混ぜるのは、乳酸菌を底に増やして酪酸菌を抑えるため。
④が密閉するのは、集合住宅でも臭いが出にくいからでした。
同じ乳酸菌が出てくる2つでも、手順を決めた理由はそれぞれ別のところにあります。
料理と家庭菜園という区分けでは、手順のほうは切れません。
台所からはじめる3つ|ヨーグルト → ぬか床 → 味噌
台所側は、待ち時間が短い順に並べるとそのまま入門コースになります。
① まずはこれ|カスピ海ヨーグルト
いちばん早く結果が出るのがカスピ海ヨーグルトです。
ヨーグルトメーカーは要らず、種と牛乳とタッパーで増えていきます。
我が家では2022年から続けていて、種はパートナーご実家から譲り受けたもの。
数えると10年以上つながっている菌ということになります。
【ヨーグルトメーカー不要】カスピ海ヨーグルトの作り方【無限増殖】初心者でも簡単!3年間続けたカスピ海ヨーグルトの増やし方
ただし、用意するものはそれだけではありません。
熱湯・食品用アルコールスプレー・キッチンペーパーも並んでいて、
記事のいちばんのポイントは衛生管理のほうです。
器具を熱湯で殺菌し、水気を拭いてアルコールで拭き上げる。
③の味噌でも、道具に食器用アルコールスプレーが並び、消毒したタッパーに詰めていました。
② 米ぬかで仕込む|ぬか床
米ぬかは、ぬか床にも④のぼかし堆肥にも使う材料です。
家庭用精米機で玄米を精米すると、新鮮な米ぬかが毎回出ます。
その米ぬかを約125gだけ使って仕込み、
室温22℃程度の場所で約20日かけて発酵させました。
ぬか床に家庭用精米機は要りません。米ぬかは買っても、譲ってもらってもかまいません。
仕込みに要るのは米ぬかのほか、塩・水・だし昆布・唐辛子などです。
我が家が精米機から出るぶんを使っているのは、米ぬかが酸化しやすく、
精米のたびに新しいものが出るのが都合よかったからでした。
家庭用精米機で始める毎日精米生活|精米したての新鮮なお米と手作りのぬか漬けが食卓に並びますアイリスオーヤマ RCI-B5-W で玄米を精米し、新鮮な米ぬかでぬか床作りにも挑戦!初心者でも簡単な作り方や失敗例・対処法も解説。
ぬか床では「底からひっくり返すように混ぜる」のがコツでした。
仕込みから約20日は1日2回、漬け始めてからは1日1回で足ります。
これは、酸素があってもなくても生きられる乳酸菌を底に沈めて増やし、
酸素が苦手な酪酸菌を空気にさらして抑えるための操作です。
「混ぜる」は作業ではなく、菌を選ぶ操作なのだと分かる例です。
③ 仕込んで3ヶ月待つ|手作り味噌
台所側の最後が味噌です。
2025年3月30日、パートナーご実家で約11kg分を仕込ませていただきました。
これは大容量の仕込みで、分量を減らせばもっと気軽に作れます。
初めてでもできる!本格手作り味噌の作り方とコツ11kgの大容量仕込みに挑戦!写真付きで手順を紹介
味噌は容器に叩きつけるように詰めて空気を抜き、表面を酒粕で覆います。
どちらもカビを避けるため、つまり入ってほしくない菌を締め出すためです。
ぬか床が「混ぜて選ぶ」なら、味噌は「抜いて選ぶ」。逆向きに見えて狙いは同じです。
③の記事が「目安」として挙げているのは時間でした。
涼しい時期なら常温に置き、1ヶ月に1回ほど空気を押し出して、約3ヶ月。
開けてみると、赤味噌と白味噌の中間くらいの色合いに変わっていました。
土のための2つ|ぼかし堆肥と納豆菌液
ここから舞台が土に移ります。
④への橋渡しになるのが、②に出てきた米ぬかです。
日々出る米ぬかをキッチンパックにストックしておいて、そのままぼかし堆肥に回します。
⑤の納豆菌液に米ぬかは使いません。こちらは食べ終わった納豆パックから始まります。
④ 台所の副産物が土に還る|コーヒーかすのぼかし堆肥
毎日出るコーヒーかすは、そのまま土に混ぜると
カフェインが他の植物の生育を邪魔してしまいます。
そこで米ぬかと合わせて発酵させ、微生物に分解してもらうのがぼかし堆肥です。
毎日出るコーヒーかすを土に還す!|ぼかし堆肥づくり実践記毎日捨てていたコーヒーかすで、ぼかし堆肥づくりに挑戦。発酵の経過観察からネギでの比較実験までをまとめました。
こちらは袋を密閉する嫌気性発酵。集合住宅でも臭いが出にくいのが利点です。
9月初めに仕込み、残暑が続いたこともあって約1ヶ月で仕上がりました。
完成の目安は、コーヒーかすと米ぬかの色がなじみ、
袋の外からでも味噌のような良い香りがしてくること。
封を開けると、その香りがそのまま広がります。
③の味噌が約3ヶ月という時間を目安にしたのに対して、④の目安は色のなじみと香りでした。
しかも、その香りの名前が台所の調味料でした。
⑤ 食べ終わった納豆パックの洗い汁から|納豆菌液
最後は、捨てるはずの洗い汁から菌を増やす話です。
家庭菜園で使える!納豆パックからつくる自家製「納豆菌液」──土づくりに発酵のチカラをこの記事では、食べ終わった納豆パックからつくる“納豆菌液”の培養方法と、家庭菜園での活用法・期待できる効果をまとめています。
納豆菌(枯草菌)は好気性なので、④とは逆に毎日フタを開けて振り、酸素を入れます。
エサとして、水1Lあたり20gの砂糖も足します。
土の中では、団粒構造(土が小さな粒の塊として安定した状態)ができる第一段階として、
ネバネバで土の粒子をまとめる役を担うそうです。
同じ「土のための発酵」でも、④は空気を断ち、⑤は空気を入れる。
5本をまたぐ、3つの「つまみ」
5本を並べて見えてきたのは、いじっている「つまみ」が3つしかないということです。
| 「つまみ」 | 台所での例 | 土での例 |
|---|---|---|
| 温度 | 夏は半日〜1日、冬は1.5〜2日(ヨーグルト) | 残暑で気温が高く、約1ヶ月で完成(ぼかし堆肥) |
| 空気 | 底から混ぜる/叩いて抜く | 袋を密閉する/毎日振る |
| 雑菌 | 熱湯とアルコールで器具を消毒、酒粕でカビ予防 | コーヒーかすを天日干しで乾かす |
うまくいっていないことに気づけたのは、いずれも香りと見た目からでした。
ぬか床は一度アルコール臭を出してしまいました。
捨て漬け野菜(ぬか床を育てるあいだ、5日おきに入れ替える野菜くず)を交換し、塩を小さじ1杯足し、冷蔵保存に切り替え、
心を入れ替えて朝晩しっかり混ぜたところ、5日ほどで復活しました。
コーヒーかすのほうは、仕込む前の乾燥で天日干しをサボり、袋の中で結露させて一度カビさせました。
ぬか床がアルコール臭くなる原因として②の記事が挙げたのは、
塩分の低下・気温の上昇・混ぜる頻度不足でした。
よくある質問
Q. 家庭用精米機がないと、ぬか床は作れませんか?
作れます。②に精米機は要りません。米ぬかは買っても、譲ってもらってもかまいません。
仕込みの材料と手順は、家庭用精米機で始める毎日精米生活にまとまっています。
Q. 少量から始められますか?
始められます。④のぼかし堆肥は、コーヒーかす100g・米ぬか200g・牛ふん堆肥100gを
容器で混ぜ、水を足してキッチンパックに密閉するだけの量から仕込めました。
⑤の納豆菌液も、食べ終わった納豆パックとペットボトル1本、それに砂糖だけです。
Q. 集合住宅ですが、においが近隣の迷惑になりませんか?
④のぼかし堆肥で嫌気性発酵を選んだのは、集合住宅でも臭いが少ないからでした。
袋を密閉するので、仕込んでいる間の臭いが少なくて済みます。
封を開けたときに広がるのも、味噌のような芳醇な香りのほうです。
気をつけたいのはむしろ⑤の納豆菌液で、発酵が進むと
「納豆の香りに、ほんのりアルコールが混ざったようなにおい」になります。
ガスを逃がすために毎日フタを開ける必要もあるので、置き場所は選んでください
(直射日光に当てると紫外線で菌が死んでしまうため、日なたも避けます)。
Q. 発酵と腐敗はどうやって見分けますか?
5つに共通する物差しは、正直まだ持てていません。
はっきり「これはまずい」と分かった例として書けるのは②のぬか床で、
そのサインは「ブランデー入りのお菓子」のような甘くツンとした香り、
つまりアルコール臭でした。
面白いのは、同じアルコールの気配でも⑤の納豆菌液では逆だということ。
「納豆の香りに、ほんのりアルコールが混ざったようなにおい」は、
発酵が順調に進んでいるサインです。
正常な香りは仕込んだものごとに違います。
④と⑤については、それぞれの記事に「そのときの香り」を書きました。
食べるものについては無理をせず、迷ったら口にしないのが安全です。
まとめ
台所の発酵と土の発酵で、いじっていた「つまみ」は同じでした。
ただし回す向きは揃いません。
台所でも②は空気を入れ③は抜き、土でも④は断ち⑤は入れます。
| 難しさ | 記事 | ここで身につくこと |
|---|---|---|
| ★☆☆ | カスピ海ヨーグルト | 器具の消毒と、種をつなぐ習慣 |
| ★★☆ | ぬか床 | 混ぜて菌を選ぶ。ぬか漬けが食卓に出る |
| ★★★ | 手作り味噌 | 空気を抜いて菌を選ぶ。3ヶ月待つ |
| ★★☆ | コーヒーかすのぼかし堆肥 | 密閉して発酵させ、毎日出るコーヒーかすを土に還す |
| ★☆☆ | 納豆菌液 | 空気を入れて発酵させ、土の菌を増やす |
道具の要る・要らないも、この5つでかなり違います。
⑤はペットボトル1本、②のぬか床も精米機は要らずタッパーで仕込めます。
①は容器のほかに熱湯・食品用アルコールスプレー・キッチンペーパーが要り、
④は混ぜる容器とビニール手袋とキッチンパック、
③の11kgの仕込みでは餅つき機とたらいを使いました。
まずは★1つから。①のヨーグルトなら、上の消毒さえきちんとやれば種と牛乳で始まります。
⑤の納豆菌液は納豆パックとペットボトルと砂糖でつくれますが、撒く土がないと使い道がありません。
温度と空気と雑菌。5本を並べ直して残ったのは、この3つでした。
といっても、まだ5つ試しただけです。
これから仕込むものでも同じ3つを回してみて、分かったことがあればまた書きます。

wand
「wand」は魔法の杖を意味します。魔法のようにさまざまなものを自分の手で生み出せるようになりたい、そんな思いを込めました。 ハンドメイド、家庭菜園、DIY、プログラミング等、「つくる」をテーマに色々なことをしていきたいと思っています。 Amazonのアソシエイトとして、wand は適格販売により収入を得ています。 GitHub: https://github.com/wand2016